オーロラといえば、極北地方の夜空に壮大に舞う光のカーテン!!

どうしてオーロラは光るの?

太陽から飛んで来た電気を帯びた粒子が地球大気と衝突し、光となったのがオーロラだ。光る原理自体は、家庭にある蛍光灯や街のネオンサインと似ているが、地球大気に飛び込んでくる粒子がどのくらいのスピードであるとか、大気中のどんな種類の大気とぶつかるのかによって、色にバリエーションができる。オーロラの原理はカラーテレビにもたとえることができる。裏ぶたの近くにある装置から電子が放出され、ブラウン管の中でスピードを上げ、前面の蛍光面に衝突して発光するのがテレビである。オーロラの場合は、放出するのは太陽の大気、画面に相当するのが地球の上層大気ということになる。

オーロラはどこで見られるの?

オーロラが最もよく現れる場所は、極を取り巻いてベルト状に分布しており、この領域はオーロラ帯と呼ばれている。南半球にもこうしたベルトがあり、地球が極を取り巻くふたつの冠をかぶった格好になっている。この場合の極とは、私たちが日常言っている地球上の極のことでなく、地球の磁場の極のこと。これを「磁極」と呼び、磁北極はグリーンランド北西部にある。オーロラの出現確率は地球のもつ磁場で決まる「地磁気緯度」をもとにしなければならない。そしてオーロラが最もよく見られるオーロラ帯は、地磁気緯度で65〜70度の地域。そこでは統計上は1年に200日以上もオーロラがみられることになっている。たとえば稚内の緯度は北緯約46度であるが、地磁気緯度ではわずか38度。アメリカの東海岸では、ふつうの緯度はそれほど高くないところでも、地磁気緯度が高いためオーロラをしばしば見ることができる。ボストンやニューヨークで時々見事なオーロラが見れるのはこのためだ。

オーロラはどのくらいの高さにあるの?

オーロラは、地上100キロメートルから500キロメートルぐらいの高さで光っている。オーロラカーテンの下縁の高さは、富士山の30倍ぐらいの高度ということになる。最近問題になっているオゾン層の高度は20〜30キロで、スペースシャトルは300キロ、人工衛星は1000〜数万キロの高度を飛んでいる。スペースシャトルからオーロラを見下ろした宇宙飛行士たちは、オーロラの素晴らしさを絶賛している。毛利衛さんは「ゆらゆらとゆらめくオーロラをみていたとき、まるで音楽が聞こえているような気がした。それは宇宙でたったひとつ、ゆらいでいるものが奏でるやさしい音楽だった」と感想を語っている。

どうしてオーロラはカーテンのように見えるの?

オーロラがなぜカーテン状になるかは地球の磁場の向き(つまり磁力線の向き)と密接に関係がある。オーロラのカーテンのヒダは、実はその地点の地球磁場の方向を示している。つまり磁力線に沿っているということだ。したがってヒダの角度を見れば、その緯度(地磁気緯度)の見当がつく。緯度が高くなればなるほど、ヒダは垂直に近くなり、低緯度ほどその角度は寝てくる。極端な例だが、もし赤道地方にオーロラが現れたら、ヒダは地上に平行になり、カーテンのようには見えず、むしろ空飛ぶ円盤のようにみえるはずだ。ヒダの大きさにはいろいろあるが、どのヒダも磁力線の向きだから、遠方からカーテンを眺めれば、比較的シンプルな形に見える。ヒダの揺れ具合が大きくなればなるほど、また観測者がカーテンに近づけば近づくほど、オーロラカーテンは複雑な形に見え、ダイナミックになる。さらにカーテンが自分の頭上に来て、カーテンをその真下から見上げれば、まさに天の穴から光が吹き出しているようなコロナ型と呼ばれるオーロラに合え、オーロラに包み込まれるような圧倒感がある。昔の人が天が裂けると表現したのは、このタイプのオーロラだ。

オーロラのふるさとは?

太陽は地球に光と熱を与えているほかに、プラズマと呼ばれる電気の粒を四方八方に放出している。このプラズマの流れは太陽風と呼ばれ、100万〜1000万度もの高熱のコロナから吹き出されている。太陽風の中の荷電粒子は1立方センチメートル当たりわずか10個程度。太陽にしてみればそのわずかなエネルギーがオーロラのもとになる巨大発電所を地球のまわりにつくる働きをすることがわかってきた。太陽風のスピードで太陽から地球までは3日ほどかかる。簡単にいうと太陽風と地球の磁場は、出力数兆ワットにも達する自然の大発電所を作っていて、この電力のほんの一部が地球の高緯度地方で放電現象を起こし、オーロラを発生させるのである。オーロラがいく何晩も続けて舞ういわゆる磁場風の原因として、太陽に2つの現象が確かめられている。その1つは太陽面爆発フレアー。フレアーから2、3日遅れて磁気風が始まることは100年以上も前からわかっていた。フレアーは黒点付近で複雑な磁場構造により発生する現象で、この効果は地球まで衝撃波を伴ってやってくる。したがって、オーロラの出現は太陽の活動度を現す黒点の数と密接な関係がある。太陽黒点数は11年周期でピークを迎える。もう1つのオーロラのふるさとは、コロナの穴から吹き出る高速太陽風。コロナは高温で、ここから出る光の大部分はX線である。穴といえばブラックホールのようにそこになにかが落ち込んでいくようなイメージを持ってしまうが、コロナの場合はここから高速の太陽風が吹き出している。黒点やフレアーは太陽の低緯度の現象で、コロナの穴は高緯度に多い。2000年に黒点はピークに達した。これはつまりフレアーの方で、コロナの穴はさらに5年ほど遅れてピークになるはずである。

参考 上出洋介著

         

さえ子の水中写真 亀谷内科胃腸科