一石峠・平方峠、熊谷道  2005年10月23日 晴時々曇り
ゆるやかな登りの続く林に囲まれた山道を行く一国峠・平方峠。そして優美な海岸線、紀伊の松島といわれる島々と洋々たる熊野灘、道瀬海岸を過ぎると曲がりくねった熊谷道が続く。険しい山道の多い熊野古道のなかで、このコースは旅人の心を癒してくれる開かれた海沿いの道である。  
今回はこのコースを南から北に進んだ。JR三野瀬駅から熊谷道、道瀬海岸、古里海岸、平方峠、一石峠を通り、国道42号線加田教会前までが今日の予定コース。10月の秋晴れの日、古道歩きには絶好の日和、やっと気温も下がり、歩いていても暑くもなく、寒くもなく、秋風に吹かれながらのんびり一人古道歩き。
娘、孫とともに自宅を朝8時半過ぎに出発。JR三野瀬駅近くで車を降りたのは9時50分。駅に着いたのは10時少し前。駅前の道を北西に進み、突き当りのT字路を右に回ると数分で竜王碑、熊谷道の標識がある所に来た(10:03)写真。この標識に従い左折、すぐに竜王碑に行く道が分かれているが、右側の道を真直ぐ行く。工場の横を通り道もだんだん細くなり、杉、桧林に囲まれた古道らしい道になってきた。しばらく行くと新しい橋と古道の道標があり、この橋を渡ると(10:13)、いよいよここからが、熊谷道写真
熊谷道は他の古道と違って土道だが、一部には石畳も見られた写真。側面には羊歯などの草木が生い茂っていた。時々雲の間から差し込む光が桧林のなかに影を作り美しかった。道もなだらかでのんびり歩ける。三浦峠の頂上は切り通しになっており、木々の間からちらりと道瀬の海岸が見えたが、見晴らしはそれほどよくなかった(10:40)。
三浦峠から道瀬への下り道は急で、九十九折に坂道が続いているが、距離は短いので、それほど苦にならない。周りは気持ちのいい桧林で、15分ほどで42号線が見えてくる。道瀬側の登り口には案内説明板があった(10:53)写真。それによると道瀬浦から三浦にいたる旧熊野街道は標高140mの三浦峠を越えると、満潮時には潮がさしてきたという直下の湿地帯を避け、熊谷と呼ばれた谷あいを大きく迂回していた。江戸時代の地誌『西国三十三所名所図会』に「三浦峠、坂道急なり。-峠を下りて三浦の里に至る。-長島より三浦まで行程二里ばかり-」と書かれているように道瀬から峠までは急坂だが、三浦に至る古道は緩やかな勾配で、土地の人々から熊谷道と呼ばれてきた。大正六年(1917)に、長島・尾鷲間の熊野街道大改修が完成し、各峠下にトンネルが抜けるまで、唯一の交通路として親しまれてきた道である。とのこと。
階段を下るともうすぐそこは42号線だった(11:01)写真。ここでうっかり左にコースをとり、道瀬トンネルの横にあるずい道をとおり写真、国道を渡り、坂を下る道をとってしまった。地図だとすぐ海岸にでなければいけないのに〜〜。おかしいと思い、地元の方に道をたずねたら、「もうすぐそこがJR三野瀬駅です。」といわれ、びっくる。まったく予定と反対方向に進み、再びもときたとろこへもどっていたと気付いた。あわててUターンし、熊谷道を下りたところをまでもどった(11:36)。そこを逆に右の方にに行ったら、(35分のロスだった)すぐ海岸に着いた。道瀬の海岸だ(11:39)。海に小島が点在し、きれいな風景だった。堤防沿いに歩き、道瀬のダイビングショップの前を通り、小さな漁港を横にながめながら行くと右手に赤い橋があった。これを渡って若宮神社に下りていった(11:54)。あらかじめインターネットで調べていた地図がなかったら、たぶんここで又、道に迷っていただろう。神社の右手に急な階段があり、この階段を登り写真、古里へつづく山道を行った。この階段が結構きつく長くて、ゼーゼー。階段を登りきると平坦な自然道の道が続いていた。木々の間から秋の海が光りきれいだ。まもなく東屋がある展望台に着いた(12:04)。ここで娘が作ってくれたおにぎりとドーナツの昼食をとりながら、古里海岸、道瀬海岸の展望を楽しんだ。
さらに道を進むと国道42号線に一度は出た。国道を5分も歩くと古里への道の標識が出てくる。交差点にある踏切を渡って古里の村に入って行った。線路沿いの道を一石峠へと向かったが、途中マンボウ料理と書いた看板がみえ、ちょっと興味をそそられた。古里には立寄り湯もあるらしい。古里の村を通り過ぎ一石峠方面へと向かった(12:30)写真。県道581号線を海野方面へと右にカーブすると写真ほどなく平方峠。とはいってもアスファルトの道でここが峠とは思えないほど昔の面影はまったくなかった。
ここから左に入り写真、一石峠への林道を行った。柵がしてあり写真、歩行者なら脇からやっと通ることはできた(12:40)。林道は平坦で、道幅もあり、歩きやすかった。あっという間に一石峠に到着(12:48)。説明板に目をやり、林道を下った。途中で古道と書かれた小さな標識を見落としてしまい、林道を進み一石峠下の案内板に着いたのは13:05だった。この案内板からさらに道を下るとお地蔵様のある登り口に到着(13:10)写真。畑の間の道を通り写真、踏切を渡り、階段を登れば42号線に出る(13:16)。出たところは古道の駅という看板がある干物屋さんだった写真