胎内くぐり
急な登り坂の途中に大きな岩の間に切れ目のような岩穴がある。中は暗くて見えないが、かがまないと通れないくらいの高さしかない。
  
熊野への道が塩見峠越えに改まって、室町時代から、この険ノ山を登る参詣者はいなくなった。しかし土地の者は、春秋の彼岸に滝尻王子に参り、そこで竹杖を持って山路を登り、ここの岩穴をくぐって、山の上にあった亀石という石塔に参ってきたといわれる。この岩穴を抜けるのを胎内くぐりといい、女性がここをくぐれば安産するという俗信がある。