行者還トンネル西口---トンネル口奥駈道出合---石休宿---聖宝宿---弥谷小屋
弥谷小屋---古今宿---八経ヶ岳---明星ヶ岳山腹---菊ノ窟---禅師ノ森---五鈷嶺---舟の垰---楊子宿---仏生ヶ岳山腹---
孔雀岳---空鉢岳---釈迦ガ岳---都津門---深仙宿---聖天ノ森---五角仙---大日岳山腹---太古の辻---二ツ岩---前鬼山---
---小仲坊---前鬼林道ゲート
   
2009年5月3日-4日  曇り時々晴れ
今回は先週に引き続き、奥駈道をトンネル口奥駈道出合から太古の辻まで歩き、ここから前鬼の里に下ってくる。途中、エスケープするところがなく、1日でこのコースを歩ききるのは無理なので弥谷小屋に一泊した。今回もトレックトラベルにガイドを頼んだ。日本百名山の一つである八経ヶ岳もあり、美しい山々を歩くコースとのことだが、道も険しそう。
朝8時9分発近鉄で大和八木、橿原神宮経由で下市口に10時11分着。ガイドのNさんの迎えの車で今日の出発地、行者還トンネル西口まで。途中道の駅昼食を食べ、トンネル西口まで車で送迎してもらい(標高1094m)、奥駈出合までの急な坂を登っていった(12:46)。三角橋を12時53分に渡った。、この道は3度目になるが登りははじめて。ゴールデンウィークんなので、国道も混んでいたが、この西口から奥駈道出合までの道も今までで一番人が多かった。ゼーゼーいいながら13時53分に出合に到着(写真)。標高1495mなので400m余を一気に登ったことになる。小休憩の後、右に道をとり弥山方向へ先週の続きの奥駈道に出発。しばらくバイケイソウ、クマザサの茂るアップダウンの緩やかな道を進んだ。石休の宿跡に14時12分、弁天の森へ14時22分に到着。オオヤマレンゲの木がそこかしこにあったが、開花は6月下旬から7月とのこと。結構背が高かったが、モクレン科の花と聞いて納得。聖宝の宿跡に14時54分に到着。ここでもたくさんの人が休憩していた。小学生も数人いてびっくりした。理源大師像の坐像前でこれからの聖宝八丁という急坂に備えて休憩。15時26分、弥山までの急坂を登り始めた。木の梯子になっているが急なので息が切れる。残雪があり、途中休憩をしながら16時3分に今夜の宿泊場所弥山小屋に着いた(写真)。標高1885m。山小屋泊は生まれて初めての経験。風呂もないし、部屋にはふとん以外何もない。私たちは2階の個室に泊まったが、下には大部屋がいくつかあって、男女同室とのこと。夕食は5時からいっせいに食堂でとる。夕食までの間にガイドのNさんの案内で、小屋前の鳥居を通って弥山神社に詣でた(標高1895m)。このあたり一帯の土地は神社の所有とのことだ。ここから明日登る八経ヶ岳がよく見えた。明日の天気予報では曇りで下り坂。昼頃からは雨も覚悟しなければいけないらしい。5時から夕食をして(写真)何もすることがないので7時過ぎにはもう寝てしまった。夜は消灯してしまい、懐中電灯で照らさないと便所にもいけない。ライトを1つだけ持ってきてよかった。
翌朝は4時半には目が覚めていた。部屋で昨夜もらった昼食弁当を食べ、5時33分に小屋を出発した。今日の行程は長いので私たちの足では急がないと予定通り前鬼まで着かないのではないかと懸念される。夫の膝痛と腰痛も心配される。オオヤマレンゲの群生地を鹿から保護するために金網が張られていて、その金網を開けて八経ヶ岳に向かった。少し登って近畿最高峰日本100名山の一つ八経ヶ岳山頂に着いた(標高1914、9m)(6:01)。日はすでに昇っていた。休憩後前鬼方面に下ると洞川温泉にぬけられる弥山辻に着いた(6:23)。奥駈道を前鬼方面に道をとり明星ヶ岳の西山腹を回り、山の斜面、岸壁を渡りながら進み、振り返ると明星ヶ岳、八経ヶ岳がきれいに見えた。その後深い谷あいの岸壁の鎖場を過ぎたところで、小休止(7:27)。ここで振り返ると今通ってきた岸壁が見え、よくあれを越えてきたものだと感心した。距離は短いものの先週よりはるかに険しい岩場だった。ここにも登山客がいて皆、弥山を朝早く出発してきた人達だ。尾根道をしばらく通って舟の垰(多和)についた(8:31)。タワとは山の尾のくぼんだところのことで、コルともいう。今回色々な山の専門の呼び方も勉強していかなければ。ここはちょうど周囲をみると船底のようになっているので舟の垰という。その後楊子ノ宿避難小屋に向かいここで小休止(9:12)(写真)。続いて仏生ヶ岳方面をめざし、ついで孔雀岳を巻く。このあたりで昼食。持ってきたパンとガイドがいれてくれたコーヒーの簡単な食事だがおいしい。やがて谷を覗き込むと五百羅漢という奇岩が下の方に見えた(11:33)。大峯屈指の風景だ。この後子尻返し、両部分け(12:01)、椽ノ鼻と次々と鎖場が出てきて、転落しないように緊張しながら初めての体験をさせてもらった。両部分けは吉野からここまでを金剛界、これより先、熊野までを胎蔵界と比定する所とのこと。そして杖捨ての急坂といわれる登りを通って釈迦ヶ岳の頂上に13時18分に着いた。標高1799、6m。日本200名山の一つ。ピラミッド型の山容は峯中一の秀峰といわれている。山頂に立つ釈迦如来立像は、天川村の強力「オニ雅」こと岡田雅行が大正13年に担ぎ上げたもので、平成19年7月に修復されている。少し靄がかかり始めたが、ここまで雨に降られることもなく難所を通れたことはラッキーだった。休憩をして雨の降らないうちにと下山。小石混じりの下り坂に足をとられないように注意して深仙宿に着いた(14:17)(写真)。ここにはお堂があった。今日小屋で宿泊する人がすでに到着していた。ここから大日岳の鞍場を通り(14:46)、太古の辻へ向かった。大日岳頂上に行っている人のザックが道端に置いてあったが、私たち初心者には危険が大きすぎるので、そのまま太古の辻に向かった。太古の辻には15時に到着(写真)。ここで休憩。後を振り返ると大日岳が見えていた。ここで奥駈道をそれて前鬼の里へ降りた。ここまでくれば一安心と思ったが、ここから約800mの高さをひたすら下っていくのは大変。疲れている体なのにまだ鎖場が待ち構えていた。所々木の階段が作ってくれてあり、かなり行きやすくなっているはずだが、それでも行けども行けども里は見えてこない。16時7分にやっと二ツ岩という大きな岩に着いた。これでまだ4分の1ぐらいしか降りてきていないと聞いてがっくり。露岩の多い斜面を下り、枯れ谷を渡り、やっと前鬼小仲坊に着いた(17:27)(写真)。ここから林道ゲートまでさらに歩き18時やっと車に乗った。ここから林道を下り、国道169号線に出て道の駅に寄り、近鉄下市口まで送ってもらった。19時57分発の急行で樫原神宮経由大和八木まで。ここから特急に乗り換えて松阪経由で宇治山田駅に22時8分に着いた。
今回のようなところは登山未経験者の私にとっては初めて経験することばかり。怪我もなく無事歩けたのはやはりガイドを頼んだおかげとつくづく感謝した。先週は岩場で鎖や鉄梯子のあるところを記念にたくさん写真を撮ったが、今回は後から来る夫が無事かどうか見ているだけでその余裕がなかった。そして極めつけはこれでもか、これでもかという太古の辻から前鬼までの下り坂。やっと無事に今日も終了しそうだという安堵感から気の緩みもあったのかこたえた。次回この坂を太古の辻まで登るだけでまいってしまいそう。幸いなことに最後まで雨に降られずよかった、よかった。ここまで来たら、この続きも絶対に歩いてみたい!

      

 

案内板の説明
   
弥山神社
弥山神社御祭神
 天之御中主神  高御産巣日神  神産巣日神
 伊邪那岐神  伊邪那美神  天照大御神
 月読命  建速須佐之男命  始め百柱の神等
主祭神
 市杵島比売命  天字受売命
 吉野坐神  熊野坐神
此れの神々を習合し
天河大辨財天 法辨財天と称す
大峯 弥山 御縁起
大峯弥山(標高1895メートル)は吉野熊野の大峯連峰中央に君臨し、峯中七十五靡の五十四番目に評される全山原生林に覆われた荘厳なだらかな山として、神代から水の精、土の精等、大和の神々が鎮まる神奈備として信仰され2004年には世界遺産に登録された。
弥山とは、宇宙の中心、万物の根源をなす須弥山の略称であり、役行者が大峯連峰に修験道場を開山、弥山において鎮護国家の神を祈ったところ天降る天女を辨財天と感得せられ山頂に祀り、これが日本辨財天の初めとされ弥山大神と崇められた。
辨財天の神格は南北不二、胎蔵界金剛界不二の蘇悉地曼荼羅で内証は不動、外用は天女を示し長寿福徳の利を与えるとされ、大峯修験者達は、見え隠れする険しい大峯奥駈道を歩き弥山を仰ぎ見たとき、人間が達しうる水平的な奥の極点ともいえる場として捉え、また水神信仰の根源地として祈りを捧げた。
近世には聖護院御殿や三宝院御殿を有し大峯修験の宗教的権威の源泉として吉野熊野の奥院と称され、大峯本宮として位置づけられたが、明治の修験道廃止より周辺の御殿等は損なわれ、現在は昭和55年に造営された弥山神社、役行者堂が祀られている。
   
村指定史蹟 前鬼山由緒
役の行者(小角)が大峰山を拓いた時(白鳳3年・676)その弟子、義寛と義賢の夫婦が修験道の行場守護の命を受け、この地(前鬼)に住みついた。(前鬼村誌)この夫婦に五人の子(五鬼)があって五鬼熊(行者坊)・五鬼童(不動坊)・五鬼上(仲之坊)・五鬼助(小仲坊)・五鬼継(森本坊)と称し、代々舘を構え連綿として、この修験道の聖地を守護してきたが時代の変遷と共に、明治の末期から、つぎつぎと姿を消し、今はわずかに五鬼助(小仲坊)だけが残って、単身、千三百余年の法灯を護っている。

下北山村教育委員会

     

参考資料
交通
近鉄  宇治山田-下市口 乗車券 1670円 
宇治山田-下市口 特急券 1280円
大和八木-宇治山田 特急券 1280円
 
宿泊
弥谷小屋
〒638-0321  奈良県吉野郡天川村坪内160-2 
TEL 0747-63-0236
個室1泊2食 19000/2人 
   
吉野近鉄タクシー   0746-32-2961(上市)
   
トレックトラベル
〒649-6203和歌山県岩出市桜台660
TEL 0736-62-7028
URL  http://www/trektravel.co.jp