野中の一方杉
  
継桜王子の境内を覆うかのようにそびえる杉の巨木群、野中の一方杉は、すべての枝が南の方角、すなわち那智山の方角を指しているといわれるご神木です。
明治時代末期、神社合祀の嵐が吹き荒れる中、野中の一方杉は南方熊楠による保護運動によってかろうじて伐採と荒廃から免れた歴史も秘めています。当時、地元の区会の議事録には、継桜王子を廃社にして区有林の一方杉を何本か伐採しないと学校の建設費用がまかなえないとの記述があり、伐採をしようとする側にも、やむにやまれぬ事情のあったことがうかがえます。