猪鼻王子
   
この王子は西方の三越峠から、音無川の谷を下ってきた所に祀られたものです。平安末期の藤原宗忠参詣記には、「三輿の多介(峠)を越え、次いで谷に下り、谷川を渡ること数度、亥の鼻を過ぎ、次いで発心門に入る」とあり、また鎌倉初期の女院(修名門院)御幸記には、「湯川王子に参御し、次いで猪鼻王子、次いで発心門王子において御禊あり」と記されています。今は川底も埋まり、その昔と姿を変えていますが、この碑は王子跡を後世に伝えるため、享保8年(1723)紀州藩主徳川宗直が、緑泥片岩に碑文を刻んで寄進したものです。