笙ノ窟
  
案内板から
笙の窟と周辺の山岳遺跡
大峰山脈は、山岳修験の発祥の地であり、修験の全国的中心地として古来より名高く、この付近では「笙ノ窟」をはじめ「鷲ノ窟」「朝日ノ窟」「シタンノ窟」が有名な行場として原形をとどめております。なかでも「笙ノ窟」は大峰七十五靡の六十二番目の行場であり「役の行者」(699年以前)の修行したところと言い伝えられ、平安時代から名僧、知識人がこぞって参籠修行されました。扶桑略記に伝えられる「日蔵上人道賢」の参籠冥界遍歴は北野天神縁起絵巻(国宝)にも描かれ広く知られております。
「笙ノ窟」において修行僧がのこされた和歌
日蔵上人(904-985)
  「寂莫のこけのいはとのしづけきに 涙の雨のふらぬ日ぞなき」
行尊大僧上(1055-1135)
  「草の庵なほ露けしと思いけむ もらぬ岩屋も袖はぬれけり」  
西行法師(1118-1190)
  「露もらぬ岩屋も袖はぬれけりと きかすばいかに怪しからまし」
覚忠大僧正(1117-1177)
  「こけむしろ笙ノ窟にしのべて 長き夜のこる法のともしび」
笙ノ窟は1995年「奈良県山岳遺跡研究会」が中心となり発掘調査がおこなわれ多数の出土品が発掘されました。このとき笙ノ窟に鎌倉時代からまつられていた「銅造不動明王立像」の「条帛」の尖端や「頂蓮華」も発見され改めて本像に装着されました。平成11年笙ノ窟一帯は村の文化財指定第一号に指定されております。