第75番靡「柳の宿」(一之坂行者堂)  2008.9
   
紀伊半島の中央を貫く大峯山脈の稜線上を走る大峰奥駆道、その中には七十五ヶ所の山伏の行所が設けられ靡と呼ばれている。吉野川に架かる美吉野橋の下流に、かつて「柳の渡し」があった。現在もこの「柳の宿」大峰奥駆道の北の起終点で、その「柳の宿」から吉野山への最初の坂道を「一之坂」と呼び、大正の頃まで多くの人々が行き交った。しかし昭和に入り、行き交う人もなくなり、坂の中程にあった、一之坂行者堂も荒れるに任せていた。時が流れ、そのお堂の惨状を嘆く篤信の若干名が発起し、大峯山寺並びに修験三本山など、又個人からも浄財を募り、平成19年8月崩れ落ちていた宝篋印塔とともに、この地に行者堂が移転再建されるに至った。世界遺産「大峰奥駆道」の入り口に建つこのお堂の役行者尊に多くの方々が参拝され、世界平和を祈る拠点の一つに成り得ることを心より願うものである。

案内板より