柳の渡し(町指定文化財)  2008.9
   
「柳の渡し」は、大淀町北六田と、南岸の吉野町六田とを結んだ渡しで、平安時代に醍醐寺の開祖・聖宝理源大師(832-909)が開いたとされ、美吉野橋がかかるまで、「桜の渡し(桜橋)」「椿の渡し(椿橋)」「桧の渡し(千石橋)」とともに、大いに賑わった。その北岸には柳が茂り、天明6年(1786)建立の道標を兼ねた石灯篭や石造の道標が残る。これらは、現在地よりやや上流にあった元来の渡し場から、この前を通る道路の拡張に伴い、移設したものである。平成17年6月21日、町指定文化財(史跡)となる。なお、六田の淀の清流の風情については、奈良時代に成立した万葉集のなかで、次のように詠まれている。
  音聞 目者未見 吉野川 六田之與杼乎 今日見鶴鴨 
(巻7-1105) 
    おとにきき めにはいまだみぬ よしのかは
     むつたのよどを けふみつるかも
  河蝦鳴 六田乃川乃 川楊乃 根毛居侶雖見 不飽河鴨

(巻9-1725)

    かはづまく むつたのかはの かはやぎの
      ねもころみれど あかねはかも

案内板より