矢の川---志古  本宮道B 本宮道C 本宮道D 2006年4月2日 大雨
前日の熊野に泊まって、翌日本宮道を歩く予定だ。先週本宮道@を歩き、小栗須まで来たので、今回はその続きを志古まで行く。
天気予報では明日はほぼ確実に雨。一時は古道歩きをやめようと思ったが、せっかく来たのだし、とにかく行ってみようとやや無謀かな?と思ったが計画通り実行することにして、100えんショップで雨用ズボンとポンチョを買い、これで万全と明日に備えて早めに寝た。
翌朝、予報どおり外は雨。それもポツリ、ポツリではない。予約してあったタクシーが7時45分にホテルに来てくれた。タクシーの中で今から歩くことを話すと、やや呆れ顔で、それでも親切に話をしてくれた。先週歩いたところまでで、降ろしてもらおうとしたら、「料金はここまででいいからこの先坂が急だからともう少しさきまで行ってあげよう。」せっかくの親切をむげにもできず、しばらく行って古道の標識のあるところで下ろしてもらった。もう返さなくていいからと大きな傘もくれて、何かあったらと携帯の番号も教えてくれた。車のなかで、カッパで身支度を整え、傘をさしていざ出発(写真)
しばらく林道後呂山線を歩くと(写真)いきなり「ワオーン、ワオーン」と犬がはげしく吠え立てる。つないであるから大丈夫と言い聞かせて歩いても雨の中、だれもいないところで追うかけられたらどうしようとビクビクしながら足早に歩いた。するといきなりすぐ後ろで犬の鳴き声。心臓がドキドキすしながら振り向くと1匹雨の中で犬が私のすぐ後ろにいるではないか。特に襲ってくる様子もないが、怖い。私が歩くとその犬もついてくる。周囲では他の犬の鳴き声がする。もしこの犬が野犬を呼び寄せてここで襲われたらどうしようと生きた心地もしなかった。坂を下って人家が見えてくると、いつの間にか犬も後を追ってくなくなった(写真)
やがて林道から県道熊野川紀和線に出て、ほっとして先を急いだが、雨はますます強くなるばかり(写真)。まわりの風景を楽しむ余裕もないが、通り過ぎていく車が2台止まって、「どちらまでいきますか。乗りませんか」と声をかけてくれたのに少し気を取り直し、「ありがとうございます。歩いているので」と答えて先を進んだ。変なやつだと思われたでしょう。雨の中ところどころに桜が咲いていたり、花びらが道路に落ちているのが印象的だった。ようやく本宮道Bに入り口の標識が見えたときはホッとした(8:59)。
本宮道Bの次の出口まで575m(写真)。広くはないが、苔むした石畳が所々に残っている古道だった。雨の中滑らないように細心の注意を払いながら進んだ。すぐ下を県道が通っていた。天気がよければ、せめて雨がザンザン降っていなければ、素晴らしい石畳を楽しめただろうに。お地蔵さまや可憐な白い花を見ながら、本宮道Bの出口に到着(9:22) (写真)
県道を少し歩くと大河内村明倫小学校跡だった。遠き昔の郷愁を誘うような、映画にでも出てくるような懐かしい風景だった。立派な石の門、校庭に咲く桜、そして雨の中、もやにかすむ遠くの山々。天気だったらなあ。ここには東屋、トイレもあり、ここで一休憩。又桜の咲くこの季節、天気のいいときに来たいものだ。明倫小学校跡地のすぐ前から本宮道Cが始まる(9:46) (写真)
本宮道Cの出口までは190m。平坦な林の中を過ぎるとすぐに出口になった(9:50) (写真)。見ると目の前は先ほど休憩した明倫小学校跡地。夕陽の丘という見晴らし台があった(写真)。ここからもやにかすむ熊野の山並みを見て、県道を先に急いだ(写真)。雨はずーと降っている。
15分ほど県道を歩くと本宮道Dの入口に来た(10:11) (写真)。平坦な林の中の道、そして石碑を過ぎて(写真)195m程行くと一旦林道を横切り(10:22) (写真)、再び本宮道Dの古道へと進む。ここから本宮道Dの出口までは200mと標識に書いてあった。掘割の道では滑らないように注意して出口に来た(写真)。出口には地蔵があり、雨の中ここまでこれてよかったと手を合わせた(10:32)。
林道大河内線をこのまま行けば目的まで行ける。本宮道もあと残すところ1つと油断した訳ではないが、どこでどう間違えたのかいつまでたってもEの入口が見つからない。林道大河内線沿いにある豚舎前で(写真)2つに道が分かれていて(10:41)、どっちか一瞬迷ったが、左の道は行き止まり(と書いてあったと思った)ので、行く先は下調べで出てこなかった地名だったが、小船と書いてある右の道をとった。雨はザンザン降りしきり、カッパの下まで水がしみてきた。それでもそのうちにあるだろうと思い本宮道Eの入口を探して歩き続けた。道は下り坂だが、いつまでたっても入口の標識はない(写真)。だんだん心細くなってきたが、雨の中いまさらもとにもどるのはえらいし、下っているので山に入り込んで迷うこともないだろう。左に川も流れていて下流に向かっていることも間違いない(写真)。きっと海側に出るに違いないとわが身を奮い立たせて歩き続けた。1時間10分余歩いてやっと田んぼに出たが(11:48) (写真)、果たしてここはどこ?
すぐ近くに標識があり、ここが林道小船小川口線の起点であることがわかった。とりあえず開けているほうに向かって歩くと熊野川に出た(12:00)。このときのうれしかったこと。対岸には瀞峡ウォータージェット船も見えるではないか(12:00) (写真)。でも志古ではなさそう。早く自分のいる所を確かめたくて、民家を訪ねたが、留守。仕方なく熊野川を右手に見て行けば下流に向かっていくことは確かなので雨の中と進んだ。川沿いには桜がきれいに、だけどびしょ濡れになって咲いていた。小船の集落でやっと民家で道をたずねることができ一安心。この方向に行けば薬師楊枝があり、さらに下流に三和大橋があるとのこと。
これで間違いないとわかっても、それから先の道のりは結構あり、不安になってすれ違った人にもう一度聞いて確認した。薬師楊枝堂に着いたのは12時48分(写真)。ここにも桜がきれいに咲いていた(写真)。12時56分に対岸にやっと志古のウォータージェット船着き場が見えてほっとした(写真)。ここから楊枝橋を渡り(写真)、さらに三和大橋を渡って(写真)対岸についたのは13時25分頃だった。国道168号線に出ると車がビュンビュン走り、泥が飛んできた。このまま志古まで国道を上流に向かって歩く予定だったが、着く頃には泥で汚れそうだと思い、志古口でバスを待った。バスで新宮まで行き、予定より1本早い南紀特急84号、帰路についた。電車の中でやっと遅い昼食に鯛めし弁当を食べることができた(写真)
昔の人は大河に出たり、海に出てやっと来たという思いになったのがわかるような気がしたし、山道を歩いていて不安になるのも当然でしょうね。私の場合HPで調べてきた写真の画像を確認しながら歩けばよかったが、リュックの中に入っていたので、雨の中それをとりだすのも大変だと思い、つい勘にまかせて突き進んだのが間違いだった。事故にあわなくてよかったと反省しきり。
雨の中のとんだ本宮道だった。