今回から南奥駆道を歩き始める。夫は都合が悪く、今回は私一人でトレックトラベルにガイドをお願いした。前回の続き、前鬼から太古の辻に登り、持経宿まで、そしてそこから白川池郷林道を下るコースだ。
先週までの雨のため奥駆道へ出る林道が通行止めになる可能性もあるとトレックトラベルのガイドN氏からの連絡が入り、出発日ぎりぎりまで今回の歩きが可能かどうかのN氏の返事待ち。中止の連絡はないので近鉄12時48分宇治山田発で、下市口に14時41分に到着。N氏が車で迎えに来てくれていて、今晩の宿泊地、きなりの郷まで、およそ1時間半、国道169号線を南下した。昨日、今日と現地では雨が降っていないので大丈夫だろうとのことにホッとした。「梅雨時のことだから仕方ない」と少し諦めかけていたがよかった。きなりの郷は山間にあって多機能広場があり、そこに宿泊施設、立寄り湯(写真)、ちょっと離れたところにはショートコースと思うがゴルフ場もある。宿の周りを散策し、ゆっくり温泉に入り、食事。明日に備えて早く寝ようと思い、10時前にはふとんに入った。いつものように入眠導入剤を服用したが、なかなか寝付けなくて、午前1時ごろまた追加して薬を服用してしまった。これがいけなかった。朝4時45分の目覚ましでは起きたもののその後どうしたのか全く記憶が空白になってしまった。N氏が時間になったのに玄関に来ていないので部屋まで来てくれたらしいが、その時はすっかり出かける用意をして、ちょうど部屋を出るところだったらしい。その後、車で林道ゲートまで行き(6:10)、(このとき気分が悪くて嘔吐したらしい)ゲートから簡易舗装された林道を前鬼小中坊まで登っていった(写真)。小中坊でトイレをしていよいよ太古の辻への急な坂道を登って行った(6:50)。でもこの急坂の半ばぐらいまでは後でN氏の話を聞いてこうだったのだろうと想像して書いている。前回この坂を下ってきたときは「この坂登るのはさぞかしえらいだろう。いやだな。」と思っていたが、この日は幸か不幸かぼんやりとしか思い出せない。それでもだんだん薬の効果が薄れてきて、二ツ岩の頃にはしっかりしてきて(写真)(8:14)、今何をしているのかわかるようになっていた。急な梯子も鉄鎖もある道だ。汗びっしょりになりながら、ハーハー言ってやっと太古の辻に到着(標高1521m)(9:11)。ここからが本番の南奥駆道だ。休憩していると北からザックを背負った男性が元気に通り過ぎて行った。これがこの日出会った最初で最後の人だった。ここから尾根道を南へ。いくつかの山(岳)を越え、標高1500m強から1056mまで、アップダウンを繰り返しながら歩く約8kmの奥駆道だ。蘇莫岳(標高1521m)(9:30)、石楠花岳(標高1472m)(10:09)とアップダウンが続いた。石楠花岳付近では石楠花の木を掻き分け進んだ。花が咲く頃に来たらさぞやきれいだろうに。花は散っていたがほのかにまだ香りが残っていた。山頂に着くたびに休憩しながら行ったが、止まると小バエが群がってうるさかった。やや早い昼食をして、次は天狗山(標高1536.8m)(10:29)。今回のコースではここが一番標高が高い。天狗山を越えるとバイケイソウが群生するなだらかな尾根道に出た(10:49)。花はほとんど枯れかかっていたが、白い可憐な花だ。厳しい坂道もあるが、ちょっと見晴らしのいい広場のような所もあり、こんなところに出るとほっとする。ついで奥守岳を通り、嫁越峠に来た(標高1339m)(11:36)。この頃少し雲行きがあやしくなってきたが、幸い心配していた雨はまだ降っていない。ここから十津川に下る道がかつてはあったが、今は悪路で行けないらしい。昔、女人禁制の大峰山の中で、この峠だけ3尺の巾で女が横断することが許されていたらしい。この先に天狗の稽古場といわれる朽ち果てた古木が奇妙な配置で横たわる草原?があった(11:51)。木の並び方が何だかイギリスのストーン・ヘッジを思い出させた。いつの間にか心地よい風が吹き始め、小バエもいなくなった。山頂は気温も低く、23〜25℃ぐらいで休憩していればちょうどいい。ただし歩き始めると汗でびしょびしょ。地蔵岳(子守岳)(標高1464m)(12:00)、般若岳(標高1328m)麓(12:35)を越え、滝川の辻に着いた(12:53)。この頃にはかなりばてて、歩む速度がさらに遅くなってきた。次の涅槃岳に登る坂道は長く、クタクタになった。涅槃岳(1375.9m)(13:47)。あと2ツ山を越えるとのガイドの説明に思わず「エエー」と声が出てしまった。後を振り返ると涅槃岳の美しい姿が見えた。最後の力を振り絞って証誠無漏岳(1301m)、阿須迦利岳(1251m)を越え、持経宿(1056m)に15時37分に着いた(写真)。簡単なトイレがあった。休憩して100m程行った所で南奥駆道を離れて(写真)白谷池郷林道をひたすら下った。これが結構時間がかかって、疲れた体には答えた。林道ゲートには17時3分に着いた(写真)。送迎の方が心配して途中まで来てくれた。心配していた雨にも降られず天候には恵まれたが、薬の副作用から体調を壊し、ガイドN氏には今回色々な面でご迷惑をおかけしました。 |